スマート駄目リーマンの忘備録

旅行記、キャリア論、世相分析など思ったことを書き連ねます

大企業と社員と住宅ローン

住宅ローンを組んだ後にまさかの転勤辞令!!!!

 これ、結構頻繁に耳にしませんか?せっかく住宅ローンを組んだのに、転勤の辞令が出て、ローンを組んだのにそこに住めない状況。泣く泣くお父さんだけが単身赴任なんてこともザラですよね。

配属説明会の後に地元の地銀の支店長が登場

 私は新卒でとある東証一部上場のメーカーに入社しました。一ヶ月の全体研修の後に、地方の事業所に配属となりました。

 そこの地方事業所に配属される同期と人事からの配属説明会を受けた後、会社のメインバンクの一角である有力地銀の支店長が、いきなり登場しました。

 そうするといきなり、口座開設用紙を一斉に配布されて、人事立ち合いの下で有無を言わせぬ形で、その地銀の口座開設申請書類を記入させられました。

 そしてなんと、その口座がメインの給与振り込み口座になると・・・。まだ社会を知らない青二才だった自分は会社からの指示の下で、言われた通りに手続きを行いました。しかし、今振り返ると分かります。これは限りなく黒に近いグレーであると。

会社から給与口座の指定は出来ない

 本来であれば、従業員の給与口座について会社から指定は出来ません。強制力は無く、あくまでもお願いベースが原則です。

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口座開設を行ったメインバンクで住宅ローンを組む社員

 こうして、見えない圧力で口座開設を強要された社員は入社三~五年次以降に結婚しだす同期も居て、そんな同期はメインバンクで住宅ローンを契約しちゃいます。当然ローンの与信は所属している大企業です。そして、ローンを組んだとの情報はその会社も把握出来ちゃいます。

簡単に退職できない悲劇

 そうなると大企業の正社員と言う与信でローンを組んだ以上、簡単には転職出来ません。銀行は確実にローン収入をGet出来ます。そして、会社としてもローンを抱えている以上理不尽な辞令でも退職しないだろうという目算が立てやすくなります。

 本当にひどい場合には会社員を精神的にひどく追い込みます。(会社を辞めたい。だけど辞めたらローンが返済出来ない。どうしよう?!)

会社とメインバンクはグルだった

 その会社に融資しているメインバンクとしては、融資の資金が社員の給与振り込み口座として事実上還流してくるので、融資リスクを低減出来ます。

 そして、毎年何人くらいが新規のローンを組んでくれるかの皮算用も比較的容易に出来ます。(確率5%なら、新入社員が今年は200人だから10人位はローンを組んでくれるだろう。)

 メインバンクだけがおいしい汁をすすれるだけでなく、ローンと言う十字架で会社は自社の社員を縛り付けることが出来ます。

やたら車を買わそうとする先輩

 私が在籍していた当時は住宅では無くても、車を買わせようとする先輩社員が多くいました。こんな田舎だと車が無いと厳しいぞと。私は家にも車にも興味が無かったので、本当にウザかったです。

 とにかく、会社は社員に何かしらの十字架を背負わせるように腐心していたキライがありました。

1990年代までの理想的なロールモデル

 とはいえ、大企業の正社員ならば、結婚、終身雇用、持ち家が当たり前に手に入った1990年代までは非常に理想的なロールモデルであったのかもしれません。

 社員としても定期昇給と終身雇用で約束されているので、ローンをきちんと返済出来る目算が明確に立てられました。ローンさえ返済すれば、その家は一応自分の資産となります。

 しかし、現代は定期昇給、終身雇用という前提が崩壊しかけており、ローンを確実に返済できる見通しが立てにくいです。

まとめ

 住宅ローンには企業と銀行が社員を搾取するトラップを内包しています。(未だに奥さんなどの家族から持ち家が欲しいと懇願されるかもしれません。)

 また、ここ十年の金融緩和で低金利の恩恵を受けて来ましたが、ここでガツンと金利が上がってくると変動金利では月々の返済がとたんに苦しくなっていくでしょう。

不透明な時代なので、無理せずに賃貸にしておいた方が良いかもしれません。