震災発生当時
東証一部上場企業の東北事業所で、電子部品の設計を行っておりました。新卒で勤務してから4年ほどでした。会社に不満はありましたが、転職するのも腰が重く、このままダラダラと働き続けるんだろうなと思っていました。
大きなパラダイムシフト
震災に遭遇したことで、死というものが現実的なものとして意識されるようになりました。
当時は会社に対する不満を押し殺して、自分をごまかしながら働いていました。しかし、会社のビルが仮に地震で倒壊して、会社のビルの瓦礫に生き埋めになって死ぬのは嫌だ。こんな会社は一刻も早く辞めたいという気持ちが表面化しました。
つぶしの効かない電子部品設計業務
会社を辞めて、西日本に引っ越して、いざ転職活動をするも、電子部品の設計業務の経験は、震災当時に勤務していた会社でしか通用しない物で、その経験やノウハウを転職活動で評価してくれる会社は殆どありませんでした。
前職の東証一部上場の電子部品メーカーでは、上司に罵倒されて、深夜に及ぶサービス残業をこなして頑張ってきました。それにも関わらず、転職活動で十分に評価して貰えなかったことに衝撃を受けました。
被災する前までは、そうした事を意識せずに漫然と働いていたので、当然と言えば当然の帰結です。
専門性と汎用性が重要
頑張ってきたことが評価されない絶望感で得た教訓は、転職市場ではスキルの専門性と汎用性が非常に重要だという事です。
確かに電子部品設計業務には専門性がある程度ありましたが、ニッチなノウハウであり汎用性が欠けていたのです。本当にそのスキルを欲してくれる特殊な会社では評価されるでしょうが、それ以外はいまいちです。ただし、設計業務という業務プロセスは汎用性があるので、その部分は評価対象になります。
逆にコンビニアルバイトの様などこでも、誰でも出来る仕事は汎用性はありますが、専門性がありません。よって、すぐに仕事は見つかりますが、給料は低いです。
それを勘案すると医師、看護師、理学療法士のような医療職は専門性と汎用性の両者を有しており、転職しても給料が一定水準以上の仕事がすぐに見つかります。
また、電気設備管理、電気施工の仕事をこなす電気主任技術者、電気工事士も最低ラインの給与以上で、すぐに転職が可能です。
さらには高度なスキルを有したプログラマーや金型技術者、材料エンジニア、建築士も該当するかと思います。
大学、専門学校進学の注意点
自分が進学する学校で学べることが、上記の専門性及び汎用性を有したものであるかをきちんと見極めた上で進学することをお勧めします。
例えば文学部の国文科はどうでしょうか?確かに日本の古典文学には専門性がありますが、それを必要としている会社はあるでしょうか?
そうしたことを良く考えたうえで進学をしてください。
就職時の注意
配属された部署の仕事を覚える際には、汎用的な知識を優先的に習得しましょう。例えば設計業務であれば、図面の読み方、CADの使い方、材料力学を用いた強度評価などを優先的に習得し、製品の名称とか図番台帳の管理とかは後回しです。それはその会社のみでしか通用しない知識だからです。
まとめ
転職活動では、長時間残業に耐える根性や体力よりもスキルを重視します。何となく長時間働いていると頑張っている気になってしまいがちですが、長時間取り組んでいる仕事が他社でも評価されるものなのか冷静に振り返ることをお勧めします。