スマート駄目リーマンの忘備録

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日本のEMSの凋落

EMSとは?

 Electronics Manufacturing Serviceの略称である。何を行っているかというと電子機器を設計&開発している会社から主に組み立て工程を受注し、それを専業にしている会社である。例えば任天堂がSwitchを開発し、部材の手配を行い、その部材を仕入れて組み立てを行う会社である。(俗にいう日本の下町にある下請けの組み立て工場)

 何故そうした会社が存在するのか?任天堂で組み立てれば良いじゃんって思う人もいるだろう。しかしながら、製品の単純な組み立ては付加価値が低く、人件費の高い任天堂で組み立てを行うよりも社外の安い人件費の会社に任せた方が、効率的なのだ。

 もちろん、人件費の安い発展途上国に自社工場を建設し、そうした役割を自社内で賄っている会社もある。しかしながら、任天堂やアップルなど製品付加価値におけるソフトウェアの比重が高い会社は、ハード面を外部に頼ることが多い。

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日本のEMS<台湾EMS

 日本の強みはモノ作りだと言われていたが、私の印象だとEMSに限って言えば、日本よりも台湾や中国などの方が、優秀なのではと思うに至った。

 

発注元がEMSへ何でもお膳立て

 従来は仕事を依頼する側が、製造マニュアルを写真付きで丁寧に作りこみ、それを元に日本国内のEMSの社員に事細かに説明する。その上で真面目なEMSの社員が、正確にプロセス遂行することで、高い品質水準を保ってきた。しかしながら、裏を返すと、きちんと1~10まで教えないと全く何も出来ない体質に成り下がってしまった。

 

発注元に指導する余裕が無くなる

 長引く不況で、発注元のメーカーにきちんとEMSを教育&指導する余裕がなくなって来た。よって、装置や治具の提供だけ行って、後は自分たちで工程を考えて欲しいと依頼するようになった。しかし、日本のEMSはこれが全く出来ない。教えてくれないと出来ないと泣きつく始末。

 

そうした会社や人の存在意義(仕事上)が、薄れて行く

 極論を言えば、ただ真面目に言われた事だけを行うならば、日本の会社に依頼する必要が全くなくなってしまったのだ。そうした流れで、台湾のEMSに仕事を流すことが増えていった。

 しかし、驚くことに、台湾のEMSは日本よりも安いだけでなく、ある程度自分達で工程を考えることも出来るようなっていたのであった。

 それも当然、アップルのi phoneの受託生産は台湾のフォックスコンという会社が行っており、アップルからの厳しい要求や指導を潜り抜けてきたのだ。

 

日本は弱者にやさしい社会だった

 日本は2000年代前半まで、有能な人がそうじゃない人の面倒を見ていた弱者にやさしい社会であった。それが2000年代以降、労働のグローバル化、派遣雇用の規制緩和、不況にあえぐ企業のコストカットなどの複合的な要因で、有能な人がそうじゃない人の面倒を見る余力が無くなってしまった。その結果、弱者は自己責任と切り捨てられるようになってしまった。(きちんと教えないと依頼された仕事が出来ないならば、海外に出来る会社にサッサと切り替える。日本のEMSが潰れようと知ったこっちゃない)

 

まとめ

 日本語という障壁によって、日本の優秀な技術者は日本に留まっていた。しかし、昨今の日本の状況を鑑みるに、それも臨界点に達しつつあると感じる。有能じゃない人に、自分の頭で考えろと言っても、無理な話である。そうであれば、有能な人を何とか日本につなぎ留めておかないといけないのが、現実的な解である。有能な技術者に正当な対価を支払う、労働環境を改善するといった政策の整備が急務である。