2013年から2020年までの株価上昇
2013年には1万円程度であった日経平均は2020年には一時3000円を超えました。株価だけを見れば、アベノミクスのおかげで景気回復したような錯覚に陥ります。
実体経済は低迷
平均年収の推移を見ると2013年は約430万円、2020年も約430万円。株価は上がりましたが、年収は全く増えていません。1992年の約470万円をピークに概ね右肩下がりです。
そもそもアベノミクスとは?
日本銀行が国債を通常よりも大量に買い取ることで、市中にお金を沢山流通させて人工的にインフレを起こして消費の増大を狙った政策です。
更に国の中央銀行であり通貨発行権を持つ日本銀行が、企業の株を買うという行為にまで及びました。つまり民間企業でありながら、国にお金を補助してもらって事業を営んでいるという何とも社会主義的な行為にまで手を染めました。
当然株価は上がる
業績が低迷しても、日本銀行が株を買い支えてくれたおかげで、株価は上昇します。本来ならば、業績が低迷すれば株価も低迷するのが道理です。
健全な景気回復
通常であれば、売り上げが伸びて業績が上がり、従業員の給与が増えて、消費が伸びる。その結果、伸びた商品も恩恵を受けて、それに関連するサービスや財を供給する企業の業績も上がり、そこに勤務している従業員の給与も上がる。
つまり、手元にお金が増えて商品を買いたい人が増えて、需要と供給のバランスから、価格が上がる。以上が正常な景気回復のプロセスです。
アベノミクスはどうだったの?
とりあえず、市場にお金を沢山流して株価や物価を上げれば、それにつられて景気も良くなる だろう?! ということで、市場に沢山お金を供給しました。
つまり、普通と逆のことをやっているのです。景気が良くなる→物価が上がるではなく、物価が上がる→それにつられて景気も良くなる だろう?! という根拠のない仮説に基づいた経済政策を10年近く行ってきたのです。物価が上がれば、それに対応するために労働者は一生懸命に働くようになるとでも考えているのでしょうか?
また、日本銀行が株を買い支えたことで、本来はリストラに着手しない企業を下手に延命させることになり、コストカットや構造改革を遅らせてしまいました。コストカット&構造改革→業績回復→株価上昇が本来あるべき姿なのに株価が上がれば、構造改革も進む?! というこれまた根拠のない仮説で株価上昇が引き起こされました。
物価は上がったけど景気はさらに悪くなった
最近のニュースの通り、ガソリンの値段や小麦の値段は上がりました。でも、皆さんの給与は増えましたか?ほとんどの人が増えていないのではないでしょうか?
当然です。市場にお金が流通すれば、お金の相対的な価値は減るからです。
どうすれば良かったの?
毎年四月に来年の三月まで限定で使用できる商品券を全国民に直接配れば良かったと思います。来年の三月までに使わないと無効になるので、嫌でも何かを買おうというインセンティブが生まれます。これがお金だと貯金に回ってしまうので、意味が無くなります。その結果消費が喚起されて、自然な物価上昇が期待できます。
商品券でばらまいた分は、高齢者で一定以上の資産を有している方から優先的に税金で回収します。こうすれば富の不均衡が是正されます。
まとめ
株価はバブル後の高値とニュースが湧きたってため息をついている人は、私を含めて多いと思いますが、冷静に分析すれば当然なのです。
株価を含めたモノの値段を上げるだけの政策を10年近くもやってきたのですから。この政策には従業員の給与を増やしたり、正社員の雇用を増やす政策は基本的に無いのです。株式市場や銀行ではなく国民に直接商品券を配る方法を取るべきでした。