スマート駄目リーマンの忘備録

旅行記、キャリア論、世相分析など思ったことを書き連ねます

長い春休み(東日本大震災の記憶)ビエンチャン→ルアンパバーン

 夜が明けて、軽い朝食を済ませて荷物をまとめる。トゥクトゥクで郊外の長距離バスターミナルを目指す。そこで、ルアンパバーンまでのチケットを手に入れた。水に濡れたらすぐにふやけそうなペラペラなチケットを握りしめて、VIPバスへ。

 しかし、VIPバスとは名ばかりで飛行機のプレミアムエコノミーのような座席感がほんの少し広い程度で、日本の長距離バスと何ら変わらなかった。ベッドに横になりながら、のんびり行けると思っていたが、当てが完全に外れてしまった。朝八時前に出発、郊外には進出してきたばかりの日本企業の看板も見かけた。やがて一時間ほどすると舗装された一般道から山道に入る。揺れがひどく、旅の疲れも重なって、すっかり酔ってしまった。横の席が丁度していたので、上半身だけ横になる。飛行機で行くべきだったと後悔した。

 4時間ほどで、バンビエンに到着。かつて米軍の滑走路があった地だ。そこで、軽い昼食を済ませた。たしかフォー麺だったはず。売店でミネラルウォーターを購入した。バンビエンでちょうど半分くらいの道のり。残りの4時間を耐えようと自分に誓った。

 バスは絶景の山岳道路を走る。(ガードレール無し)ハンドルを切り間違えたら、崖下まで真っ逆さまなスリリングな道だ。転落しないことを祈る。途中には腰に銃を携えた武装勢力の姿もあり、身震いがする。やっぱり飛行機で行けば良かった。

 途中で何度か現地人が利用するバスとすれ違った。バスの座席は寿司詰めで、屋根一杯に荷物がくくられていた。乗客の忍耐強さに思わず感服する。曲がり角では何度もけたたましくクラクションが鳴らされる。死角の地点では音で存在を知らせ、対向車との正面衝突を防いでいるのだろう。

 当初は苦痛だったバス旅も景色を堪能したり、人間観察をすることで、次第に楽しいものとなった。いつしか山岳道路も夕闇に包まれていく。頼む。最後まで運転に集中してくれと運転手に祈りを込めた。やがてバスは夜の七時くらいに広場のようなバス停に到着。どうやら、ここがルアンパバーンのようだ。バスのチケット売り場と待合所の明かりが愛おしく感じた。崖に転落せずに無事に到着出来て本当に良かった。

 体は疲労困憊で、街を歩き回って宿を探す気力が無かったの、バスセンターの近くの宿に宿泊することにした。ちょうど受け付け横の一階の部屋が空いており、幸運だった。

 水のシャワーを浴び、残り物のチョコレートクッキーをつまんで眠りについた。