スマート駄目リーマンの忘備録

旅行記、キャリア論、世相分析など思ったことを書き連ねます

ロシアワールドカップ観戦記(モスクワでの意外な出会い編)

 カリーニングラードを飛び立ったRussian航空は、モスクワ上空で何度か旋回を繰り返し、11時過ぎにヴヌーコヴォ国際空港に到着した。隣のドイツ人は椅子に腰かけているのが辛く、窓側に体をもたげていた。何度も旋回していたので、一瞬不安がよぎった。飛行機が無事に着陸すると皆が一様に拍手。私と同様の不安を乗客の皆も抱えていたのだろう。モスクワには6/17~6/19の三日間滞在し、6/19の夜行列車でスペイン対イランの試合を観戦するために、カザンへ向かう予定だ。

 とにかくお腹がすいたので、空港のレストランでサラダとボルシチを頼んだ。モスクワは近年の経済発展が目覚ましく、西ヨーロッパ的な雰囲気が漂い、旧東側諸国の趣は影を潜めていた。とりあえず空港から列車と地下鉄でクレムリンを目指すことにした。ロシアの地下鉄のエスカレーターの速度が異常に早く、気を付けないと降車時につまずきそうな勢い。地下鉄のホームは大変深く、エスカレーターでも時間がかかった。非常時には核シェルターとして利用できることを想定したものなので当然地下深くに越したことは無い。駅のホームには美しい壁画が描かれ、銅像が鎮座していた。今まで南米、東南アジア、西ヨーロッパなどを旅してきたが、こんなにも美しい地下鉄は初めてだ。冬の厳しい寒さが内面への充実を駆り立てたのかもしれない。地下鉄のドアはバタンと無造作に素早く閉まってしまうところなど、随所に旧東側諸国の面影が感じ取れた。

 

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秀麗な地下鉄コンコース

 地下鉄で赤の広場の最寄り駅にたどり着き、目的地まで歩く。途中でイルミネーションのようなものが道路一帯に飾られ、昼間でも道に彩りを添えていた。赤の広場には侍ブルーのユニホームを着た日本人サポーターも多く見かけた。明後日の日本対コロンビア戦の為に一度モスクワを中継したのだろう。何人かの日本人に声をかけ一緒に写真を撮る。

 

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駅から赤の広場まで

ワールドカップのアウェーまで応援に来る日本人には三種類いる。

①お金と時間があって、ほんの少しサッカーに興味がある50代以上。

 旅行の手配は代理店任せ。

②普段からサッカーを愛して止まないガチのサッカーフリーク。

 サッカー観戦専門の旅行代理店で手配。

バックパッカーでサッカーに興味があり、全て自分で手配してくる人。

 ちなみに私は②と③の間。

 

広場を一通り散歩したら、赤の広場の外壁を一周してみたい気持ちにかられた。実際に歩いてみると非常に広大で、夏の日差しが強く体に差し込んでくる。帝政ロシアが支配した広大な土地を象徴しているようだ。

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赤の広場

 

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美しい庭園

 散歩に疲れて、時計をのぞき込むと既に16時を過ぎていた。安いバックパッカーのドミトリーを予約していたので、そこに向かうことにした。しかし、地図で示された場所に宿が無かった。解体された空き地が広がっていた。そんな筈は無い。地元の人に尋ねても確かにそこだった。宿への連絡も通じず途方に暮れてしまった。仕方ないので、別の宿を予約することにしたが、ワールドカップ期間中はどこも満室で、空いている部屋は一泊三万円以上と高額だった。しかしながら、宿が無い以上背に腹は変えられない。仕方なく一泊三万円の宿をメールで予約した。タクシーでその宿に向かうと、たかが10分くらい乗っただけなのに4000円ほどぼったくられた。しかし、体は疲れ切っており、せっかく見つけた宿を逃すことも出来ないので、しぶしぶ金を払って宿へ。宿の受付で予約手続きを行おうとすると書面での手続きは出来ないので、expedia経由で予約してくれと頼まれ、受付でwifiの電波を拾って予約し直した。二泊で6~7万円くらいだった筈だ。

 部屋は個室で大変清潔だった。ここ三日間まともに布団で寝てなかったので、まさに極楽。シャワーを浴びながら、汗で汚れた衣服を洗濯して部屋に干すと清々しい気分になった。

i phoneの充電をしたいが、コンセントの規格が合わなくて充電できない。ちょうど宿の近くに電気屋があったので、変換プラグを購入することにした。

カウンターの兄さんにお勧めの変換プラグを紹介してもらい、それを購入。その時に君は日本人かと彼から尋ねられた。Yesと回答する。すると彼はチェスカ・モスクワの本田と対戦したことがある。自分は左サイドで彼とマッチアップしたときにサイドクロスに苦しめられたという。私の中では頭が?のままだ。しばしポカンとしていると隣にいる若い女性が彼はプロサッカー選手だと教えてくれた。サッカーで本田選手とマッチアップした人物と話をしていることと、そうした人物がワールドカップ期間中の今、電気屋さんで働いていること。この二つの事実を思うように受け入れることが出来ない。しばらくしてから、実感が湧いてきた。

https://en.wikipedia.org/wiki/Georgi_Tigiyev

 せっかくの機会なので、サッカーチケットにサインを書いてもらった。予約した宿が解体されて、跡形も無く消失していて、意気消沈していた気持ちが晴れてきた。

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Georgi Lvovich Tigiyev

人生塞翁が馬だ。思わぬ貴重な出会いに体から喜びが込み上げた。やはり旅はこうでなくちゃ。

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