私は人生の四年ごとの恒例行事として、サッカーワールドカップを見に行くことを課している。折を見て2018年ロシアワールドカップ観戦旅行記を「長い春休み」と並行して書くことにする。サラリーマンであるが、ワールドカップに行くときは三週間くらいの有給を取ることにしている。当然ながら日本では白い目で見られる。そう。ワールドカップ観戦旅行は、同調圧力を強行突破して三週間以上の長期有給休暇を取得し、出発前日までに仕事を何としてでも終わらせることからスタートする。
試合のチケットについては意外と何とかなる。FIFAではチケットを抽選販売しているので、人気のカード以外にあまり人気の無いカードをブレンドして申し込めば、最低でも不人気のカードは当選するからだ。さらに日本戦というのは、日本人じゃなければ余り興味を持たれない試合である。よって、毎度最低でも一試合は日本戦を観戦してきた。
ロシアワールドカップでは、年明けのチケットの申し込みで、6/20 クロアチア対ナイジェリア(カリーニングラード)、6/20 イラン対スペイン(カザン)、6/24 日本対セネガル(エカテリンブルク) のチケットが当選した。
チケットが当選するとFAN IDというIDカードの発行手続きをする。ロシアを旅行するには通常ビザが必要なのだが、ワールドカップ期間中は特例でFAN IDで自由にロシア国内を旅行出来る。当選後に写真のデジタルデータとパスポート情報を入力すると五月中旬から下旬あたりにチケットと一緒に自宅に送付される。
クロアチア戦が当選したのは予想外の驚きで、嬉しくて飛び跳ねた。それもつかの間、試合会場のカリーニングラードはポーランドに接するロシアの飛び地で、たどり着くのは困難なようだ。
とりあえず、観戦する場所と日程で、大まかな旅行計画を立ててみよう。大阪→北京→ミンスク→ビリニュス→カリーニングラード→モスクワ→カザン→エカテリンブルク→北京→大阪。最終旅行地のエカテリンブルクで、ふとシベリア鉄道という言葉が頭によぎった。
エカテリンブルクはシベリア鉄道の駅があり、ヨーロッパとアジアの境をなす駅だ。エカテリンブルクから北京までシベリア鉄道で帰ることは出来ないだろうか?調べてみると、日本対セネガル戦が終わった未明にエカテリンブルクから北京に行くシベリア鉄道の便があるでは無いか。せっかくだし、乗るっきゃない。有給は一週間延長だ。
どうやら壮大な旅になりそうだ。乗車券はヨーロッパの旅行代理店で手配できるようだ。さっそく代理店のwebサイトで七万円にて購入。シベリア鉄道。遥かなる旅情を掻き立てる響き。昔の文化人、外交官、学者などはシベリア鉄道で一路ヨーロッパを目指したのであった。そして乗り鉄ならば、誰もが一度は乗ってみたいと思う列車だろう。まだ出発まで三カ月以上もあるが、胸の高鳴りを抑えきれない。