スマート駄目リーマンの忘備録

旅行記、キャリア論、世相分析など思ったことを書き連ねます

真昼鈍行(熱風ベトナム編 2009) 7

真昼鈍行とは外回りの営業に疲れたサラリーマンが帰社するまでの時間稼ぎをするためにわざと鈍行に乗る行為である。
そのようなサラリーマンは日本の競争社会と雇用環境の理不尽さにほとほと疲れ果てている。そうして、やがて長期の旅に出る。その中の三分の一は社会復帰できず。旅先で沈没する。

絶対日の出を見るという暗示がきいたのか5時20分位に起床。

急いで海岸に向かう。
海岸に向かう道から、すでに美しい朝日が!

早く海岸に行きたい。
焦る気持ちを制しながら、落ち着いて道路を渡る。

まだ朝早いのに海岸沿いの道は車がビュンビュン走っていた。

うわーっ!秀麗な朝日。
綺麗っていう単純な言葉では安っぽい。
やっぱり秀麗だな。
美しさと同時に神々しさも感じた。

海岸では多くの地元民が海水浴に興じていたり、ランニングをしたりとこんな時間にも関わらず既に賑やかだった。

朝日が海面に反射されて、海面からも光りが発せられているみたい。

その光景を夢中でカメラに収める。
今回の旅行のベストショット!
海面から反射した光の効果を最大限に活かしたかったので、なるべくしゃがみ込んで撮影した。

砂浜を歩き回り、色んな場所から朝日とそれを寛受する人々を撮影し続けた。
朝日の写真だけじゃ絵にならなかっただろう。朝日と海岸での人々の営み。それがうまく調和されたからこそ、良い写真になったのだと思う。

撮影に満足すると腹が減ったのでフォーの屋台へ。

初めてフォーと一緒に小さなカボスが出された。

カボスの絞り汁をフォーにかける。
カボスの酸っぱさが良いアクセントになる。
カボスがフォーにのっている肉の臭みを上手く和らげてくれる。

その後に旅行代理店に立ち寄り、近くの島へ行く船でのツアーを申し込む。

受付の姉さんには七時半にここで待ってろとのこと。

宿に六時半頃に戻り、身支度をする。
喉が渇くことが予想されたので、mineral waterをリュックに入れる。
今日も朝から良い天気だ。

集合の15分程前に宿を後にして先ほどの旅行代理店に向かう。しばらく待っていると迎えのワゴン車が到着。
ワゴン車に乗り込むと今日の昼食のリストをガイドから渡される。とりあえず豚肉料理を選択してそれを伝える。
ワゴンはホテルに向かい長身の日本人と欧米系の女性をピックアップして港に向かう。
欧米系の女性は俺の隣に座るとHi!と一言。気さくな人だ。

港に停泊されている船に乗せられて、船に直接やってくるツアー客を待つ。ベトナム人の母娘連れ。アジア人女性と欧米人男性のカップルが乗り込んできた。

隣の船が我々の乗っている船にクラッシュしながら強引に発進。
それに続けてばかりに、しばらくすると我々の船も発進した。船はエメラルドグリーンの入り江から沖合を目指す。入りを横断するロープウェーの下をくぐる。

ロープウェーからの眺めはさぞ気持ちの良いことだろう。明日にでも乗ってみたいな。
沖合の島まで大分時間があるようなので、自分の前に座っている日本人らしき人に話しかける。ちょっと韓国人か日本人のどちらなのか確信がつかなかった。

とりあえず日本語で話しかけてみる。


「日本人の方ですか?」

「そうですよ。」

よかった。日本人か。

その方は名古屋在住でダイビングをするためにベトナムにやってきたとのことだ。
船で今まで訪れた海外の様々な海のことを語ってくれた。

パラオの海が今までで最も印象に残ったということだ。

俺は残念ながら、海に入るだけでダイビングはやらないのだが、ダイビングが出来たらさぞ楽しいだろうと思った。

係の人に僕もダイビングをやらせてくれないかと頼んだが、やはり無理だとのこと。
おとなしく諦める。

しばらく行くと沖合いに小さな島まで辿り着く。船は島には着岸せずに島の沖に停泊した。

するとガイドが俺に声をかけて、ここでダイビングをするので、君はブイの範囲で自由に泳いでいいよと日本語で話す。

やっぱ商売をやるに当って、外国語が出来ると得をするね。
特に海外からの客を囲い込む時には有利だよね。

隣の欧米人の女の子はウェットスーツに着替えてインストラクターと一緒に海へ。
それにしてもでかいなー。185cmくらいあるんじゃないか?
後で話したが、スイス出身だとのことだ。

スタイルいいし。きれいだねー。

俺はスイムゴーグルをつけて海へ。島を目指して100mほど泳ぐ。途中で小魚の大群に遭遇。うーん。日本の海水浴場では見られない光景だ。Beautiful.

しかし目の前でダイビングを楽しんでいる人をみていると、ちょっぴりうらやましい気分だ。俺もダイビングを申し込めばよかったな。

泳ぐだけではさすがに退屈だ。島の海岸でのんびりしようと思うも、いまいち落ち着けにない。
仕方なく船に戻る。
船に戻った後は適当に海の写真を撮影する。エメラルドグリーンの海がまぶしい。
同じ海なのにどうしてこんなにも海の色は地域によって違うのだろうか?

緯度が低い方が太陽光線の角度がきついからだろうか?
さらに底が浅いことが光の反射を高めて鮮やかな色になっていると勝手に結論付ける。

きれいに理屈なんていらねーよ。

しばらく船にいるとダイビングの人たちも続々と戻ってくる。皆、楽しんだのだろうか?

皆が帰ったところで船は出発し、もう一つの島へ。

一部の人らはそこでもダイビングを楽しんだが、俺はのんびりと船から海を眺める。

船から見る島の緑の美しい。海の淡い緑と、島の濃い緑のコントラストが絶妙。
空と海。島と海。エメラルドグリーンの海が空の青と島の緑の緩衝作用を行っているようだ。空と島だけだと色のギャップが大きすぎる。だけど海があるおかげで、それらの色のギャップが滑らかにしてくれている。
緩衝とかいう言葉。何年ぶりに使用しただろうか?高校の化学以来か?

海を見ているのも飽きてきた。座して静かに出発を待つ。ダイビングの人たちが戻ってきたところで、船は港へ戻る。

港に戻ると、車で一路レストランを目指す。レストランでは朝にセレクトしたメニューが出される。

出されたメニューのボリュームがすごかった。豚肉や鶏肉を丸ごと串刺しにしたものが、つるされて出てくるのは初めてだ。
味も悪くない。正直、今日見た海と同じくらいの満足度。

味は薄かったが全て平らげて、ツアーは解散となった。

まだ13時くらいだ。とりあえず、宿に戻りシャワーを浴びほてった体を冷やす。

それでもまだ14時過ぎ。暇すぎる。海岸をぶらつき、先ほど船から見上げたロープウェーに乗ってみようかと考えるも歩くのが面倒だからやめた。
海岸沿いにある革製品の店を冷やかす。
財布がぼろぼろだったので、安くていい財布があったら買おう。

迷ったあげく40ドルくらいのワニ皮の財布を購入。革製品や綿織物に関してベトナムは安くて質の良いものが揃っている気がするなー。ホイアンでもそれを感じたが。革製品はきちんとしたブランドが確立していたし。うまくやれば、世界的なブランドとしてうまく売り込めそうな気がするんだよな。今、先進国の消費者が求めてい る製品は安いだけじゃなくて良いもの。
それはH&Mの成功でも見て取れる。
良い意味での適度さ。そこそこのブランドで、そこそこの価格で、そこそこの品質。
その、そこそこっていうのが文化や国によって微妙なので、世界戦略となると難しいと思うけどね。
また、今のところアパレルの流行の発信地はヨーロッパだからね。H&Mが成功できた一因の一つにはヨーロッパ発というのも一理あるかな。デザインではヨーロッパが一歩先を行っているのは否めないかな。
ファッションていったら、Paris、Milanだもんな。Tokyoだとやっぱり弱いな。
アジア発でアパレルのブランドを発信するのって難しいのかな?
工業製品なら、日本発のブランドってたくさんあるけど。ソニーとかで、アパレルはあまり無いよね。KOSHINO MICHIKO とかTAKEO KIKUCHIとかもworld wideってなるとね。
そういう意味でユニクロがこれから世界でどのように認めてもらえるかは大きな関心のまとだよな。

ベトナムにも売り込む種はたくさんあると思うんだよね。工業化を進めるだけではなく、今あるものをうまく生かしてブランド化すればもっといける気がするんだよな。

ODAとかで不釣合いに立派な橋とか建てるだけじゃなくて、こういうことを日本の商社
がうまく支援すれば長期的にみてベトナムの経済の発展につながると思うんだけどな。
革製品と買って一応高級品だから、正式なルートを通して大量に日本に輸入しようと思うと関税がかかるのか?

誰か偉い人教えて下さい。

ドル払いをしたら、店の人にえらく感謝された。
やっぱ東南アジアの通貨は弱いなー。ベトナムもインフレ気味だもんな。

その後に旅行代理店に立ち寄り、明日のニャチャン行きの寝台列車の予約をする。
明日には手配を終えておくので取りに来てくださいとのこと。うわー楽だ。駅の窓口に並ぶ手間を考えたら、多少の手数料も気にならんわい。

ニャチャンでは人との交流が薄かったので正直記憶が薄いんだよな。なんかリゾートって感じで。純粋な観光客ばかりだった。しかも友達同士とか、団体で。旅自体を目的にしている人があまりいなかったんだよね。食事をするところも欧米人観光客向けの洗練されたレストランばかりだったし。自国の文化をそのままフリーズドラ イして、それを現地に持ち込んで。旅人達に積極的なコミュニケーションを取ろうという姿勢や現地の文化を理解しようという姿勢があまりなかった。だからなかなか旅をしている人たちとは友達になれなかった。
唯一の救いは宿の人たちが気さくだったことくらいかな。一緒に何枚か写真を撮影できたことは良い思い出だね。図図しいかもしれなかったけど、一緒に晩飯を食っても良かったかな。

夜は屋台をぶらつき、とにかく興味のありそうなものは何でも食べてみた。葉っぱをクレープ生地みたいなものに挟んだものから、ロブスターまで。調子こいてビールを何杯か開けてふらふらになって宿に戻った。

もちろん下痢をした。

今日はきれいな海を見れたし、革の財布も買えたし。

なんだかんだ言っても良い一日だったかな。

 

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