スマート駄目リーマンの忘備録

旅行記、キャリア論、世相分析など思ったことを書き連ねます

使えないオッサン営業社員Sさん

本社のオッサン営業社員のSさん

 10年以上前に新卒で勤務していた会社にSさんという役職の無いオッサン社員がいました。その方は本社の代理店営業担当で、週に一度ほど、技術部に電話の問い合わせをしてきます。

しかし、その引き合いの数量がまさかの一個といった衝撃の案件ばかりを毎回引っ張ってきました。単価は数百円なので、一つ売ったところで採算がとれません。今、この瞬間に電話で話している時間の人件費で数百円の単価を上回り赤字になってしまいます。

 数百円の部品ならば、最低1ロット1000個は売らないと採算が取れません。

 さらにタチの悪いことに久々に1000個単位の引き合いを引っ張ってきたと思ったら、生産終了品の再生産依頼。

 本当に面倒な引き合いしかとって来れず、設計に話をつないだらすぐにしれっとトンずら。設計に無理な引き合いをお願いしている罪悪感もありませんでした。よって、納期をギリギリまで後ろに引っ張って少しでも設計を助けようという気概も0でした。

 

非効率な営業慣行

 なぜ、そんな非効率な事を日本企業は行っていたのでしょうか?当時は代理店や顧客ごとに営業部員を配置していました。いくら数量が少なくとも、営業マンは過去に付き合いのあった担当顧客や代理店を無下には出来ませんでした。

 さらにエスカレートすると一度生産終了した製品でも、顧客から無理を言われて、設計部に無理やり再生産をねじ込まれることが何度もありました。

 一度生産を終了したので、図面も破棄されている場合も多く、そうした場合は類似製品や過去の手書きの図面などから推定して、設計者がCADで図面を描き直さなくてはなりませんでした。

 営業マンは売り上げを向上させることが仕事の筈なのですが、実態は担当顧客の御用聞きに終始していました。よって、新規市場も全く開拓できませんでした。

 

設計はサービス残業

 量産品の手配や設計検証だけでも多忙なのに、生産終了品の再生産まで対応するには夜中まで残業するしかありません。その残業も大抵はサービス残業でした。その反面、生産終了品の再生産の無茶な要求をねじ込んだ営業のオッサンは悠々と定時退社。

 そんなしょうもない引き合いを取って来るのではなく、ロット10K以上の量産品の引き合いを取って来いよと心の中で叫んだものでした。

 

担当営業のオッサンがいない方が会社の為になる

 正直、オッサン社員のメンツの為に無駄な残業をしていた訳です。そのオッサンがいなくなってくれれば、自分は早く帰れます。なんだろうオッサンの雇用を守るために若手の設計部員は人柱になっていたんだと思うと涙が止まらないです。

 

営業マンそれぞれが売り上げ達成目標を持つべき

 前述の営業方式では、数量の少ない取引にも営業マンを貼り付けなくてはならず、非常に効率が悪いです。そこで、営業マンは担当顧客を固定せずに売り上げ目標を持たせ、それを達成するならば、どんな製品を売っても良いというシステムを導入すべきだと感じました。

そうなれば必然的に数量が多く流れている量産品を販売するでしょう。目標の売り上げ目標を達成できなければリストラすれば良いのです。

 

まとめ

 日本企業特有の縦割りの弊害もあり、頑張っても報われなかったですね。仕事が増えるだけで給料は変わらなければ、そりゃやる気無くなりますよね。

 日本だとリストラ=悪というイメージが根強いですが、企業は営利団体なので儲からない余計なお荷物社員は会社からいなくなるべきなんですよ。

 このエピソードは新卒で入社した企業で東証一部のグローバル企業(日経平均にも採用)だったんですが、そんな会社がこんな体たらくじゃ、そりゃ日本も沈みますよね。

 リーマンショック後の事業再編で、事業部の名前を適当に変えて改革のアリバイ作りだけやっただけなのには本当にがっくり来ましたね。

 現場の派遣社員はリストラしましたが、本社の営業のオッサン社員は正社員という事でリーマンショックの後も余計な仕事だけ増やしてヌクヌク働いていた姿には本当に怒りを感じました。