スマート駄目リーマンの忘備録

旅行記、キャリア論、世相分析など思ったことを書き連ねます

品質保証部のTさん

天下り社員

 私が以前勤務していた会社の品質保証部にTさんという方がいた。私がその時に勤務していた会社というのは日系の大手企業の子会社で、親会社である大手企業のあまり使えない社員&やる気のない社員が天下ってくる所であった。

 しかし上記の使えない&やる気のない社員だけでは業務が回らないので、プロパーと呼ばれる中途採用社員が彼らよりも安い給料で、働くことで業務を回していた。

 そのTさんは親会社から天下ってきた、ぶっちぎりで使えない&やる気のない社員だった。専門知識などは豊富だが、自分が責任を負うことにはノータッチ。責任逃れだけは天下一品だった。

 

無敵のTさん

 品質保証という仕事を担当している筈だが、出荷データを眺めたり、たまにあがって来る不具合品を確認するだけ。その不具合対応もヤバくなると個別の担当者に丸投げして、いち早くフェードアウト。不具合対策の会議も用事があるからと言ってバックレる。会議で少し突っ込まれただけで次の日は決まって休む。

 とにかくプロパー社員泣かせの存在だった。仕事を丸投げした後は日がな一日、ネットサーフィン三昧。ひどいときは居眠りをしだす始末。親会社の社員なので、誰も表立って注意出来ない。また、親会社から天下って来た社員同士には妙な連隊意識があり、お互いを庇いあう。

 Tさんは日本のメンバーシップ雇用の盲点を鮮やかにハックし、不労所得を得ているに等しい存在だった。技術担当社員は二年に一度、基礎的な技術試験を受験するが、彼は品質保証ということで免除。

 当時の年齢は50才前後で、未婚。仕事ぶりを見て分かる通り、人生を半ば降りている。就業時間の17:45になると決まって会社のテナントビル一階のコンビニへ行き、そこで夕食の弁当を買う。そして皆が残業している横で、コンビニ弁当を貪る。帰宅して一人で食事をするのが、寂しいのだろうか。

 

面白エピソード

 Tさんが無線による動画転送技術の発表をしたときのことだ。その動画というのが、初音ミクを自分でコスプレカスタマイズし、それが壇上を踊るアニメ映像であった。50才前後のオジサンがマジ顔で決めて、それを披露した際には、皆一様に絶句したものだ。

 

笑えない

 面白エピソードを読むだけならば、笑い話で済むだろう。しかしながら、私はプロパー社員という立場でTさんが無責任に丸投げした仕事をおっかぶされる悲惨な立場であった。彼よりも収入の低い私が、彼よりも大きい責任を背負い、敗戦処理を行わなければならなかった。営業に怒られるのも私だった。

 私はその当時未婚であり、収入を上げたいと望んでいたが、Tさんのような社員が人件費を圧迫し、プロパー社員の収入は全く上がらない。私は虚しさで胸が一杯になった。

 

メンバーシップ雇用の闇

 これは日本のメンバーシップ雇用の闇である。一度親会社に正社員で採用されてしまえば、適当に仕事をこなしていても解雇されず、そのツケは中途のプロパー社員や派遣社員が払う。そして、これから結婚したい、子供を持ちたいという若いプロパー社員や派遣社員の夢を打ち砕く。

 

Tさんのその後

 Tさんの後始末で疲弊した私は、遂に転職を決断した。上長との面談で転職理由を問われると、Tさんのような、やる気のない親会社の社員の敗戦処理はコリゴリだと正直に伝えた。

 程なくしてTさんは、親会社の名刺作成や印刷物の作成などの雑務を請け負う関連会社に飛ばされていった。

 Tさんが最終出社の日に、総務社員がTさんの机の後片付けを手伝うようにプロパー社員の一団に頼んだが、誰一人として手を貸す者はいなかった。当然の仕打ちだ。

 

まとめ

 やはり、適度な競争環境の中で、努力したものが報われる組織作りをすることが、日本企業にとって急務である。そして、努力が報われない不遇な環境の若者は転職する力を付けて、次の活躍のフィールドを見つけて欲しい。