スマート駄目リーマンの忘備録

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八方塞がりの一億総活躍

 一億総活躍

 政府が一億総活躍をブチ上げて、定年雇用の延長、定年後の嘱託雇用の努力目標を掲げているのは、周知の通りだ。

しかし、私はこの施策は上手くいかないだろう。上手く行かないどころか、寧ろ経済の停滞化に拍車を掛けるだろうと、予測している。 

 

多分無理

 今、60歳、65歳に差し掛かる男性サラリーマンは年功序列で、曲がりなりにも課長なり、課長になれなくてもお情けで主任という役職を貰えた人が大半だろう。当然部下を持ち、管理職としての自尊心を皆、多かれ少なかれ有している。

そんな人達が、純真な気持ちで、嘱託雇用契約の下、下働きが出来るだろうか?私はそうした人達を幾人か見て来たが、正直厳しいのが本音だ。 

一度でも人の上に立ち、人を動かす美酒を味わうとそれは麻薬となる。 

年下の正社員からお願い事を頼まれても、自分流に固執する。斬新な意見を頭ごなしに否定する。職務分掌に固執し、イレギュラーな仕事に柔軟に対応出来ない。正直職場にとってマイナスが大きいことがほとんどである。

昔は55歳が定年だったが、そもそも柔軟に仕事へ対応出来るには、その辺が限界だろう。昔の人達は感覚的にそれを理解していたのだと思う。

よって、まだ正社員であっても55歳を過ぎて管理職をやってるのも正直きつい。多かれ少なかれ上記の老害の悪い兆候が出始める。 

本当は高齢の彼ら自身も柔軟に変化に対応したいと思っているかもしれない。しかしながら、対応出来ない現実に直面すると、そうした自分に向き合う事が苦しい。そうなると後はそれが出来る若い人を叩く事でしか心のバランスを維持出来ない。  

 

国の本音

 皆さん薄々周知の通り、高齢者の面倒を国が見れないから、定年延長、総活躍の掛け声で、企業に高齢者の面倒を見させる安直な考えがこうした事象の背景にある。しかし、そうする事で企業体力が落ちると結果的に国家の税収が落ちて、国と企業の共倒れになるんだろうという暗いシナリオしか思い浮かばない。

それじゃ、移民を入れる話もあるが、日本に富をもたらす優秀な移民は高齢者がのさばる閉塞的な事業環境を嫌い、日本には定着しないだろう。優秀な人は成果に対して、オンタイムでそれに見合う報酬や地位を求める。そうした事が日本企業に出来るだろうか?

百歩譲り、そうした人材が日本に定着したとしよう。しかし。多文化主義のバックグラウンドを有さない日本人だ。仮にインド人のITエンジニアが革新的なアプリを構築し、会社に多大な収益をもたらし、明日からこの人が日本人社員の部長になりますということを抵抗感無く受け入れるだろうか?

私自身インド人の優秀なITエンジニアを採用しようとしたら、高齢男性社員の横槍が入り、頓挫してしまった。彼は盛んに、そのインド人が無能だと社長に吹聴した。彼女はかなり入社に乗り気だった。非常に無念である。

 

正に八方塞がりだ。