スマート駄目リーマンの忘備録

旅行記、キャリア論、世相分析など思ったことを書き連ねます

「会議で決めよう」は責任逃れの方便

部長に重要な決断を下して貰う

 私はメーカーで部品のスペックギリギリの条件で、製品に搭載する検討をしていました。各種の耐久試験を行って、問題無しとのデータを取得出来ました。

 そこで、技術開発本部長にGoの判断を取り付けにいきました。そこで、得た回答はとりあえず会議で決めようというものでした。

 

会議を開催するも!!??

 会議には技術開発本部長の他に副本部長、品質開発部長が出席していました。私が、各種耐久試験の結果を説明しました。その後に本部長は副本部長と品質保証部長に「どうする?」と声をかけて、両者とも曖昧な返事の中で、とりあえず大丈夫だろうという何とも取り止めの無い結論となりました。

 その会議には2~3時間を費やしたにも関わらず、上記の馴れあいの議論しか行われなかった事に私は心底落胆したのでした。 

 データは揃ってるんだから、それに基づき決断を下すのがtopの責任だろうよと。私が本部長にデータを持ち込んで、その場で本部長が決めてくれれば、15分程度で結論は出た筈です。

 

会議をしていると何となく仕事をした気になる

 会議で皆が集まり、主催者がホワイトボードに書いて説明を行い、役職者がフンフンと聞いているだけで、会議の顛末がどうあれ、何となく仕事をしたような空気感が醸成されます。そこで、責任の所在と結論が明確になるならば良いですが、大抵はその場の空気感に流されて、曖昧な結論しか出ません。

 

人件費と時間の無駄

 少なくとも役職者の時間単価は平社員の私よりも遥かに高いはずです。それなのに明確な結論が全く出てこない。これは人件費と時間の無駄の何物でもありません。こういう無駄なことが日本の伝統的な企業では日々繰り返されています。

 

アメリカの会社の事例

 私は一時期、アメリカの会社(GAFA)をお客様を相手に仕事をしたことがあります。私が相手方に報告や提案をすると若手の、有能そうな管理職が、その場で即断即決します。結論が先延ばしになることは全くありません。

 

普段から一手先を考えて、責任を取る覚悟を有している

 そのアメリカの会社の有能そうな管理職は、普段から一手先を常に考えて、主体的に動いているから、即断即決が出来ていたのだろうと思います。そして、責任を取る覚悟を持っているのでした。

 

責任を取りたくない日本の管理職

 日本では管理職が、アガり的な慣習が根強く残っております。そのため、そこまで辿り着いたら、あくせく働かず、のんびりふんぞり返りたい人が多いです。本当はここから、頑張らなくちゃいけないはずなのですが・・・。

 

まとめ

 今の若い人が、管理職に憧れない背景には、決断が出来ない、責任を取る覚悟が無い管理職を目の当たりにしてきたことも一因だと思います。グローバル化に日本が巻き込まれる中で、topの意思決定の遅さは致命的です。

 新入社員の時期には会社が主催する研修で、グループワークなどが有りますが、そうした場でリーダー役を積極的に引き受けて、管理職になった時に備えることをお勧めします。

 

 

 

 

日本のEMSの凋落

EMSとは?

 Electronics Manufacturing Serviceの略称である。何を行っているかというと電子機器を設計&開発している会社から主に組み立て工程を受注し、それを専業にしている会社である。例えば任天堂がSwitchを開発し、部材の手配を行い、その部材を仕入れて組み立てを行う会社である。(俗にいう日本の下町にある下請けの組み立て工場)

 何故そうした会社が存在するのか?任天堂で組み立てれば良いじゃんって思う人もいるだろう。しかしながら、製品の単純な組み立ては付加価値が低く、人件費の高い任天堂で組み立てを行うよりも社外の安い人件費の会社に任せた方が、効率的なのだ。

 もちろん、人件費の安い発展途上国に自社工場を建設し、そうした役割を自社内で賄っている会社もある。しかしながら、任天堂やアップルなど製品付加価値におけるソフトウェアの比重が高い会社は、ハード面を外部に頼ることが多い。

ja.wikipedia.org

日本のEMS<台湾EMS

 日本の強みはモノ作りだと言われていたが、私の印象だとEMSに限って言えば、日本よりも台湾や中国などの方が、優秀なのではと思うに至った。

 

発注元がEMSへ何でもお膳立て

 従来は仕事を依頼する側が、製造マニュアルを写真付きで丁寧に作りこみ、それを元に日本国内のEMSの社員に事細かに説明する。その上で真面目なEMSの社員が、正確にプロセス遂行することで、高い品質水準を保ってきた。しかしながら、裏を返すと、きちんと1~10まで教えないと全く何も出来ない体質に成り下がってしまった。

 

発注元に指導する余裕が無くなる

 長引く不況で、発注元のメーカーにきちんとEMSを教育&指導する余裕がなくなって来た。よって、装置や治具の提供だけ行って、後は自分たちで工程を考えて欲しいと依頼するようになった。しかし、日本のEMSはこれが全く出来ない。教えてくれないと出来ないと泣きつく始末。

 

そうした会社や人の存在意義(仕事上)が、薄れて行く

 極論を言えば、ただ真面目に言われた事だけを行うならば、日本の会社に依頼する必要が全くなくなってしまったのだ。そうした流れで、台湾のEMSに仕事を流すことが増えていった。

 しかし、驚くことに、台湾のEMSは日本よりも安いだけでなく、ある程度自分達で工程を考えることも出来るようなっていたのであった。

 それも当然、アップルのi phoneの受託生産は台湾のフォックスコンという会社が行っており、アップルからの厳しい要求や指導を潜り抜けてきたのだ。

 

日本は弱者にやさしい社会だった

 日本は2000年代前半まで、有能な人がそうじゃない人の面倒を見ていた弱者にやさしい社会であった。それが2000年代以降、労働のグローバル化、派遣雇用の規制緩和、不況にあえぐ企業のコストカットなどの複合的な要因で、有能な人がそうじゃない人の面倒を見る余力が無くなってしまった。その結果、弱者は自己責任と切り捨てられるようになってしまった。(きちんと教えないと依頼された仕事が出来ないならば、海外に出来る会社にサッサと切り替える。日本のEMSが潰れようと知ったこっちゃない)

 

まとめ

 日本語という障壁によって、日本の優秀な技術者は日本に留まっていた。しかし、昨今の日本の状況を鑑みるに、それも臨界点に達しつつあると感じる。有能じゃない人に、自分の頭で考えろと言っても、無理な話である。そうであれば、有能な人を何とか日本につなぎ留めておかないといけないのが、現実的な解である。有能な技術者に正当な対価を支払う、労働環境を改善するといった政策の整備が急務である。

 

 

 

 

ドイツワールドカップ観戦記(スペイン対チュニジア)

ニュルンベルク→シュツッツガルトへ

 日本対クロアチアを観戦した後、駅で預けていた荷物を受け取って、ICEでシュツッツガルトを目指した。電車の中で、アメリカ人がサッカーの事をベラベラ喋って非常にうるさく、隣のドイツ人女性が苦笑していた。

シュツッツガルトのユースホステルに到着し、荷物を部屋に置いて、近くの公園を散策すると、皆、それぞれの快適なスタイルで、昼下がりの日差しを堪能していたのが印象的であった。

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 馬に乗りながらパトロールする警察の姿も、ヨーロッパの風情が非常に色濃く感じられるものであった。

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ファンフェスタ

 試合会場のファンフェスタにはライプチヒのドミトリーで同室だったスペイン人に再会し、なんだか懐かしい気持ちになった。ドミトリーで彼とサッカー談義をした時に、日本サッカーの事も良く見ていて、良い点、悪い点を詳しく語ってくれたことが印象的だった。ボールに対して、選手が懸命に走る点は素晴らしいが、当たり負けしやすいことが課題だと話してくれた。

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試合観戦

 スペインはこのチュニジア戦に勝利すれば、決勝トーナメントへの進出がほぼ確実なため、スペインのサポーターのテンションは非常に高かった。試合前に何度もウェーブを行い、テンションはキックオフに最高潮に達した。

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 チュニジアのムナリ選手に一点を先制されて、スペインは苦しいスタートになったが、ラウールとトーレスの2ゴールで逆転に成功した。ロングスルーパスを受けて、そのままの流れで決めきるトーレスの技術としなやかな体には舌を巻いた。

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ドイツワールドカップ観戦記(日本対クロアチア)

デュッセルドルフニュルンベルク

 日本対クロアチアの試合はニュルンベルクで開催されるので、朝方デュッセルドルフからICEでニュルンベルクを目指した。ホームには日本人のマダムの一団がおり、声をかけてみると、ドイツ日本人学校の教師とのことだった。

 ニュルンベルクでは宿泊せずに、シュツッツガルトに向かうので、ニュルンベルク駅に大きな荷物一式を預けて、試合会場に向かった。

 駅には侍のコスプレや和服を着た日本人などで溢れかえっていた。駅のコンコースを歩いていると高校の同級生とすれ違い、思わずびっくりしてしまった。奇遇とはまさにこのこと。

 後の高校の同窓会で、そのことについて触れると大手Sierに勤務していながら、有給を取得して現地観戦に来たとのことだった。

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惜しくもドロー

 対戦相手は強敵クロアチアであった。1998年のフランスワールドカップでも対戦し、惜しくも1-0で負けた相手だ。試合当日は強い日差しが照り付けて観客席でも非常に暑かった。

 川口選手のPKセーブや柳沢選手の惜しい場面など、ドローではあったが、それなりに見どころはあり、楽しい試合であった。

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印象的だった点

 後半にボランチの一角の福西選手が下がり、稲本選手が投入され、少しテンポが良くなった印象だったが、稲本選手に疲れがあったようで、次第にチェックが甘くなっていった。それを中田英寿選手が果敢にフォローしていたのが、印象に残った。これだけの炎天下の中で、あれだけの運動量を維持できる事は非常に脅威であった。

 また、小笠原選手がスルーしたパスをハードヒットしミドルレンジからゴールを捉えたが、惜しくもキーパーにブロックされてしまった。次のブラジル戦の後、中田選手は引退を表明したが、今になって思えば、これを含めて残り二試合で自分のサッカー人生が終わるんだという壮絶な決意を背負っていたからこその頑張りだったのだと感じた。

 残念ながら試合は引き分けに終わったが、日本代表がワールドカップのアウェーの地で初めて勝ち点1をGET出来た点は、評価に値すると感じた。

 

 

 

メーカーの地方事業所で見た少子化の現実

新卒で東証一部メーカーの東北(田舎)の事業所に配属

 私は新卒時に設計者として、東証一部メーカーの田舎の事業所に配属されました。地方で総合職ならば、そこの地元では給与は高く出会いには困らないだろうと勝手に考えていました。

 

30代の独身の先輩がかなり多かった

 しかしながら、実際に配属されて、そこで働き始めると若い女性は皆無でした。いても既婚者ばかりでした。そして、性格もルックスも問題の無い男性社員の先輩で独身の人が多くいたことに衝撃を受けました。

 

若い女性は都会へ

 若い女性は、田舎から都会に出てしまっていました。確か事業所全体で2%程度しか若い女性はいなかったと記憶しています。その女性たちは製造現場の派遣、もしくは人事、経理などの文系職のため、設計・開発部には20代女性は全くおらず、大きな絶望感を感じていました。そこにはかつて一般職で設計アシスタントとして採用されて、30代を過ぎても一般職として働き続けている妙齢な女性が多く生息していました。

 

メーカー地方事業所の昔のロールモデル

 かつてのメーカー地方事業所では、一般職として入社した地元の女性が、総合職の男性社員と結婚→その一般職の女性たちは寿退社→若い一般職の女性が入社してくる。→新たに配属された総合職の男性社員と結婚というロールモデルが成立していたため、社内の総合職の男性(就職氷河期世代以上)は皆、結婚できていました。

 

1990年代後半からロールモデルが崩壊

 1990年代からの不況の煽りを受けて、男性の賃金が伸び悩み、三十才を過ぎて、本来寿退社するはずの一般職女性が辞めなくなりました。その結果、若い一般職女性の採用が大幅に絞られて、適齢期の総合職男性があぶれるようになりました。

 地方では雇用の受け皿が小さく、退職した後に旦那の低い給与を補うために安い時給でパートするよりも楽な一般職に正社員としてしがみついた方がおいしいため、当事者としては合理的な選択でした。

 

まとめ

 昨今の少子化問題は1990年代からの不況の煽りと、正社員の解雇規制による雇用の硬直性が原因であると考えられます。

 長時間残業、きついプレッシャーにも関わらず、給与もそれほど多くない、異性との出会いも無いという状況で、就職氷河期以降の男性総合職のエンジニアにとって非常に不遇でありました。また、若い女性が地元で就職できるチャンスを得られず、都会に行かざるを得なかったことも悲劇であると思います。

 

 

ドイツワールドカップ観戦記(チェコ対ガーナ)

ラインエネルギーシュタディン (RheinEnergieStadion

 FCケルンのホームスタジアムで、コンフェデの会場の一つでもあったスタジアムである。サッカー専用スタジアムで、観客席のすぐ目の前にピッチが迫る。また、観客先の傾斜も若干急で、後ろの席からも十分に見下ろせることが可能である。

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ガーナの陽気な応援

 アフリカ色の強い南国風の陽気な応援に心が弾まされた。サッカー観戦とお祭りが混在しているような雰囲気であった。

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試合内容

 下馬評では格上のチェコが勝つと言われていたが、前回の試合でヤン・コレルを負傷で欠き、前線でのボールのおさまりが悪くなった。そしてガーナの身体能力とスピードに押し込まれて、敢え無く敗戦。チェコのDFがガーナFWに全く追いつけない場面も何度かあったことに衝撃を受けた。

 身体能力の高い黒人が、テクニックと高度な戦術を身に着けたら、間違いなく無双するだろうと思わざるを得ない試合内容だった。

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デュッセルドルフに宿泊

 デュッセルドルフユースホステルの八人部屋に宿泊した。同じ部屋にはアルゼンチン代表を応援しに来たアルゼンチン人と日本人の西野さんという方がいた。アルゼンチン人にスペイン語で挨拶すると文法ミスを指摘されて、テンションが下がった。

 西野さんはガーナ代表を追いかけるチケットを購入したらしい。ガーナの試合ぶりをビール片手に誇らしげに語る姿が印象的だった。年齢は34歳。

 二十代のころに職を転々とし、今はフリーのプログラマーとして働いているとのことだった。フリーランスなので、仕事のスケジュールを自分で調整して、こういった大規模サッカーイベントの時に長期休暇を取って思う存分旅行を楽しんでいるそうだ。ホテルのテラスの自販機のビールをおごってくれて、ドーハの悲劇をリアルタイムで見ていた時の心境などを訥々と語ってくれた。独身で会社にも属して無いが、肩ひじ張って頑張ら無い自然体が魅力であった。自分もこうした社会人になりたいと密かな憧れを抱いた。

 その西野さんとは連絡先を交換し、帰国後に上野で落ち合って、居酒屋でサッカー談議に花を咲かせた。旅先での出会いは面白い。日本で普通に暮らしていたら、決して交わらないような人と交わり、新たな人間関係の化学反応を誘発する。海外旅行は人間関係の触媒だと感じた。

 

 

 

 

日本企業の管理職に対する違和感

管理職は責任が重い→その結果、給与が高い はず!!!

 部長及び課長は決断に対して責任を負います。その責任の重さ故に給与も高いはずです。しかしながら、私が出会ってきた大手企業の管理職の中で、きちんと責任を取れている管理職って意外に少ない印象です。

 どちらかというと、責任は部下に擦り付けて、部下の成果は自分のものにするジャイアン的な人が多かった印象です。

 

プラント装置会社での経験

 設計指示書を切ってきて、私はその指示書に従って、図面を作成しました。しかしながら、設計レビューの段階で指示書の内容に誤りが見つかりました。

そこで、驚愕の一言が上司から発せられました。「指示書が間違ってないか、事前に確認に来ないお前が悪い。」

 設計指示書は絶対的なもので、内容を確認し判子を押した上で、設計者に流れてくるものです。指示書に判子を押す以上、大きな責任が伴うので、内容に誤りが無いか確認をするのが上司の責務の筈です。そこをすっぽかして、確認に来ないお前が悪いと居直れる神経には、呆れてモノを言えませんでした。

 

電子機器会社での経験

 在庫品の保管条件が適切でない事が原因で、出荷製品に不具合が生じました。在庫品の管理は品質保証部の責任です。それなのに、設計が悪いとでっち上げ、その責任を全て私に擦り付けてきました。しかもその製品が設計されたのは、私が入社する以前です。

 

権利と金銭だけをむさぼり、責任を取らないズルい管理職

 こういう管理職ばかりではないとは思います。しかしながら、非常に申し訳ないですが、こういう人が日本企業の管理職に多いのは事実ですね。

 鶏が先か卵が先かの議論になりますが、うまく責任を他人に擦り付けて、成果だけを掠め取るズルい人が管理職に上がりやすい傾向がある気がします。そういう人は、自分よりも立場が上の人に対するゴマすりも上手く、上の立場で評価する人が騙されちゃうんですよね。

 

ズルい人が管理職になり易い要因と解決策

 前段に述べたように評価が上長から部下への一方通行なので、それ以外の人達を無下に扱っても、上長にだけ良い顔をする人が、登用されやすい。これが一番の原因です。

 これを防ぐには外資系のように360度評価を導入し、立場が自分以下の人たちにも公平、公正に接することが出来ているか、チェックする事が必要です。

 女性社員に対して、やたら甘い人にも注意が必要です。こういった人は自分の好き嫌いを優先して、業務上の指示や判断を下すので、不正の温床になり易いです。

 

まとめ

 自分自身できちんと責任を取る。立場にとらわれずに公平、公正に人と接する。自己研鑽に励んでいる。そうした真面目な人を360度評価であぶりだして、登用することが急務である。