一路ウボンラーチャターニーへ
ホテルの近くのネットカフェで調査するとラオスのパクセーから国境を越えてウボンラーチャターニーへ向かい、そこからタイのバンコクへ向かうことが出来ると判明した。
国境超え
翌朝、バスに乗り込み、ウボンラーチャターニーを目指した。バスの同乗者を見渡すと一人の日本人っぽい乗客が、悠然とシートに腰かけていた。
国境検問所近くの店で、私がラオスのキープ(kip)紙幣でコーラや焼き鳥を買っていると日本人らしき彼が、横で焼き鳥を10本ほど買い込み、残ったキープ(kip)紙幣を要らないからあげると私の手に差し出して来た。彼曰く、ラオスの紙幣は国際信用力が無いので、国外では全く両替が出来ないので、ラオスを出国する際は全て使い切らないといけないそうだ。
私の財布には使い残したキープ紙幣が何枚もあった。彼の話を聞いてお店で慌てて消化しようと思うも、バスの出発が近付いており、あえなく断念した。
彼の名はトオルさん
バスに乗り込み、話しかけてくれた日本人の横に座ることにした。彼の名はトオルさん、当時27歳で証券会社に四年間勤務した後に世界一周の旅に出て、現在はその途上とのことだ。
ウボンラーチャターニーまでの道中で、これまでの会社の事、旅先の事などで話が弾んだ。ウボンラーチャターニーへ到着すると、二人で軽い夕食を食べた。宿はシャアした方が安いので、二人で部屋をシェアすることにした。今日、出会ったばかりだが、十分に信頼出来る人だと感じた。
日本企業の違和感
海外でバックパックの一人旅をしている人に多いのですが、日本企業に対する違和感を感じている人が圧倒的に多い印象だ。
トオルさんも日本の証券会社で働きながら、何かと違和感や理不尽さに悩まされていたそうだ。
別れ
出会って、すぐに意気投合して、日本の会社や日本人の働き方について、色々意見を交わし、充実した一日を過ごすことが出来た。
しかし、私は次の日の寝台列車でバンコクを目指さなければならない。出発は昼過ぎだったので、別れの前に一緒に昼飯を食べた。
その昼飯中は、トオルさんが証券会社に勤務していた時の話題が中心だった。証券会社時代は、中小企業の社長さんを相手にすることが多かったようだが、その社長さんからお勧めの本を必ず聞き出し、自分でそれを購入して読む習慣をずっと継続してきていたとのことだ。
また、社長室のドアを開け示しているだけの良く分からんオジサンが年収700万円など、まだまだ日本では職能給制度が発展途上な事を案じていた。
まだまだ話題は尽きなかったが、いよいよ別れの時が来た。別れ際にメールアドレスを交換し、固い握手を交わした。
彼は世界一周後に独立を考えているとのことだが、誠実で努力家な彼ならば、絶対に上手くいくだろうと思った。