「建築や構造物が好き」なだけじゃ勤まらない
就職活動で、プラントやゼネコン業界を志望する方もいると思います。設計業務に強い興味を抱いていると思いますが、好きなだけじゃ勤まらないのが、プラント、土木業界の難しい点です。
発注元が国を始めとした地方自治体、電力会社、大手企業
これから分かる通り、お客様が圧倒的に強いです。お客様が黒と言えば黒だし、白と言えば白です。特に納期については、どんなにギリギリでも絶対に間に合わせるのが常識です。
一番厄介なのは、お客様が電力会社の場合でしょうか。こちらの納期遅延や不具合で万が一発電が出来ない場合、一日数千万円~数億円というペナルティが発生します。タイトな納期、ミスが出来ないプレッシャーで、設計検証の場は非常にピリピリとした雰囲気です。一日に数回ほど怒号が飛んできます。
さらに、モノがモノだけに事故が起きた時に人命に直結します。このようにお金だけでなく人命への影響も多大なので、精神的にタフである必要があります。
設計は慢性的な長時間残業
お客様が電力会社などの場合、突発的なトラブルが発生したときに迅速に対応することが必要です。よって、通常の設計業務にトラブル対応の緊急案件がひっきりなしに割り込んできます。そのため、常に忙しいです。自分の仕事が一段落しても、忙しい人の仕事を手伝わされます。いつも何かに追われていて、気持ちが全く休まりません。
通院や家族の不幸以外で、定時に帰れることは絶対無いです。大体22時くらいに帰宅するのが標準で、独身の場合は帰宅時にコンビニで夕食を買うか、定時後にサッと職場を抜け出して、会社の近くの定食屋で夕飯をかき込む。このようなあまり好ましくない食生活に陥ります。私の前職の課長は朝の7時に出社し、帰宅は23時。文字通り、家には寝るために帰るだけの生活です。
施工管理やメンテサービスでは僻地勤務になりがち
プラント設備やトンネル、橋梁などの施工管理は人里離れた場所に位置することが多いです。そのため、現地で施工管理をしたり、メンテを行う人は数年間、僻地で勤務する場合が多いです。
独身の人は、彼女がいなければずっと独身のまんまの可能性が高いです。彼女がいる人も会える回数が激減することで、破局の可能性が強まります。既婚者も奥さんが帯同してくれたら良いですが、そうじゃない場合には最悪、離婚もあり得ます。
ただし、緊急のトラブルなどが無ければ、基本的には定時で仕事は終わるので、規則正しい生活は送れます。まれにですが、都会の慢性的な残業や喧騒を嫌って、敢えてここに来た一風変わった人もいます。
酒、風俗、パチンコ、タバコ
男性比率が非常に高い業界の特性かもしれないですが、こうしたものを積極的に好む人が多い印象です。田舎の施工管理の事務所だと昼休みにみんなでタバコふかしながらAVを見てたりと、他業種の人から見たらカルチャーショックが半端ないでしょう。
金曜日の夜に仕事終わりに飲み屋→キャバクラ→風俗のはしごが定番になっている職場もあります。そして、土日はタバコをくゆらしながらパチンコ三昧。設計部門でも他業種と比べると上記の傾向が強く見られます。
社員には学生時代にラグビーやアメフトでならしていた人も多く、陰キャはいずらい雰囲気が漂っていました。
無線機器の設計からプラント設備の設計へ
私は自分が主体で、大きな構造物を設計してみたい意欲が有ったので、無線機器の会社からプラント設備の会社へ転職しました。入社初日に新入社員歓迎会があったのですが、酒が入ると皆こぞって風俗やパチンコの話で盛り上がっていました。皆、国立大学卒で院卒が多いに関わらずこれにはびっくりでした。ちょっと異世界に来てしまったという戸惑いも覚えました。
前述のとおり、プレッシャーが大きく、職場では毎日怒号が飛び交っていました。また、帰宅も遅く、出社ギリギリまで寝て、10分でスーツに着替えて駅に向かう毎日でした。慢性的な寝不足で、朝はブラックコーヒーを飲んで、ごまかす始末。しまいには胃が荒れて、胃炎になってしまいました。
パワハラも多いかも
一概にはこの業界だけとは言えないですが、男性が多い職場で、怒号が発せられやすいとなると、どうしてもパワハラが誘発されやすいことは否めません。
ダイバーシティの推進で、職場の女性比率を増やす取り組みをしていますが、そもそも論として、彼女たちは業務内容にに関心の無い場合が多く、そのしわ寄せが男性社員に来がちです。ダイバーシティの推進は失敗であるという印象を受けました。
このような男性社会の職場に嫌気がさしたのか、育休や産休を取得して、そのままフェードアウトした女性社員もいました。
まとめ(プラント、土木業界は人を選ぶ)
これまで述べたように、設計技術があるかどうか以前に、業界特有のノリに付いて行けるかどうかが、カギになります。新卒の学生で、プラント業界で働くことを通じて、社会インフラを支えたい。社会に貢献したいですと言った人も多いですが、業界のノリが自分の肌に合わないとインフラを支える以前に自分がその重みでつぶされてしまいます。
設計に興味はあるけど、業界のノリが合わない人は、文房具、家具、電化製品などの会社に行くことをお勧めします。