スマート駄目リーマンの忘備録

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合気道は実戦で護身術として通用するのか!?

合気道

  合気道とは植芝盛平先生が、日本の剣術、柔術のエッセンスを体系化したものである。現在、世界中に普及し、老若男女が幅広く稽古に励んでいる。警察で犯人を怪我せずに取り押さえる技術などにも応用されている。

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柔道と何が違うの?

 ここで、柔道と何が違うのか疑問に思われた方も多いでしょす。何となく同じように見えてしまう方も多いと思います。

柔道

 投げ技がメインで、立ち技で手関節を極めることはありません。スポーツとしての試合をメインに発展した側面が強いです。綺麗に相手を投げて一本を取ったり、寝技で相手を床に組み伏せて有効を取ったりといった、ポイントを取ることを主眼に稽古内容が練られている印象を受けます。

 前段で述べたように、スポーツとしての特性が強いので、武器を持った相手は基本的に想定していません。さらに、投げ技がメインになると明らかに体の大きい人が有利になります。よって、体格の違いを跳ね返すのは非常に難しくなります。柔道の試合が体重ごとの階級制に分かれていることからも、それは伺えます。

 

合気道

 投げ技も存在しますが、立ち技で関節を極める技が多いです。寝技はありません。寝技が無い背景としては、相手を立ち関節技で極めた時点で、本来は相手を骨折させるに至らしめるからだと考えています。そのため、技をかけられて骨折をしないために、積極的に受け身をとります。ここが柔道との大きな違いで、柔道は投げられて、受け身を取った時点一本が成立し、投げた人が勝ちます。

 しかし、合気道は試合という概念が無く、投げられても、怪我をしなければOKなので、危ないと思ったら積極的に投げられます。柔道はポイントを取らせないために、投げられるのを必死で耐えます。よって、立ち関節技が使える、投げられてもOKということで、研鑽を積めば、体格差を跳ね返すことが出来ます。

 私は合気道を10年くらい稽古していましたが、その上での意見を書かせていただきます。合気道は戦の場で、武器を失った侍が、武器を持った相手にどのように対峙したら生き残っていけるのかを突き詰めた武道のように思えます。よって、武器を持った相手を想定した練習を行います(杖、木刀、木の小刀を用いる)。また、海外ではそれから派生させて、銃を持った相手を無力化させることにも応用されています。

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本題 合気道は実戦で通用するのか?

 これについては、稽古方法によってYesにもなりNoともなります。

Yes の場合
・練習時から実戦を想定

 合気道の稽古は型稽古がメインです。しかし、その型稽古の中でも技をかけられる側が、相手を思い切り掴んだり、技をかけるのを妨げようという動きなども織り交ぜて、実戦を想定した練習を行っているかが非常に重要です。

 また、相手の突きを捌く稽古でも、相手が思い切り突いたり、突く方向に変化を織り交ぜることが重要です。突きだけでなく、蹴りの捌きも並行して行っていると良いでしょう。

 

・他の格闘技と積極手に交流

 さらに、空手やボクシングの習得者とスパーリングをすることなども非常に有効です。合気道の稽古には柔道のような乱取りが無いので、そこの部分は自主的に補う必要があります。

 こうしたことを実践している道場は非常に少ないですが、空手、柔道、少林寺拳法、剣道などを習得した上で合気道を習得した師範が居る場合、合気道の欠点を師範自身が良く熟知しているので、上記のような練習を積極的に採用しています。また、柔道家を練習に招くなど、他の武道との交流にも積極的です。

 また、タックルに対する対処法は合気道家は苦手な印象を受けるので、レスリングの経験者と練習することも非常に有意義であると思います。

 

・フィジカルの底上げ

 練習パートナーも体格毎に限定するのではなく、小さい人と100kg越えの巨漢と敢えて組ませたりといった、対格差を意識した練習も採用しています。また、太い丸太を100回以上振って、体幹の強化にも積極的です。

 

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Noの場合
・緩い型稽古

 残念ながら日本国内の半数以上の合気道道場の稽古が、実戦では有効に機能しない印象を受けます。型稽古では常に緩い持ち方です。

 また突きも一方向で、技の受け手が、相手が技をかけるまで基本的に待ってくれています。これでは実戦での護身術として到底役に立ちません。武道というよりも気功のような健康体操に近いです。実戦での格闘よりも演武で技を綺麗に見せることに稽古の主眼を置いています。

 

合気道で閉じた世界

 また、合気道という閉じた世界の中で稽古を行いがちで、他の武道や格闘技との交流もほとんどありません。

 

・私の体験

 実は私は当初、Noに該当する道場で二年ほど練習をしていました。もちろん全く無駄ということではなく、練習を通じて技の流れを覚えたり、受け身を覚えられたのは非常に有意義でした。引っ越しを転機にYesに該当する道場に通うことになったのですが、全く技がかからず、心底自信を失ったものでした。さらに、練習で思い切り手首を握られたせいで、手首に青あざが出来たことにもカルチャーショックを受けました。

 師範は手加減せずに、投げ技では頭から落として来るので(私が一応経験者だったから)、これが路上だったら死んでいたのではないかという死の恐怖を感じました。

 

・健康運動や怪我の予防については非常に有効

 ただし、合気道の目的は人によって多種多様です。実戦での利用では無く、礼儀作法や精神性を学びたい、受け身を学んで大けがを予防したいといった目的で稽古をされる方も多くいます。確かにNoの道場でも受け身の習得は、実際に怪我の予防に役立つので、広い意味での護身術に該当します。

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自分から仕掛けない、相手に致命傷を与えずに制圧

 実戦を目的に合気道を習得する目的な、これに尽きるのではないでしょうか?勿論、空手、ボクシング、柔道でも相手を制圧することは可能です。しかし、ここからが問題です。日常生活の場で、酔っ払いに絡まれたとしましょう。その時に絡んで来た相手を殴ったら、即、過剰防衛&傷害罪で、絡まれた自分が逮捕されてしまいます。柔道の投げ技を路上で繰り出すものならば、受け身を知らない相手は最悪、半身不随もしくは死に陥ります。物理的な戦いには勝利しましたが、社会的には負けです。大負けです。

 ここで、合気道の有効性が活きてきます。合気道の立ち関節技を寸止めすれば、相手は痛い思いをしますが、怪我はしません。また、体の裁きや抜きを行うことで、絡まれそうな寸前で、相手をかわすことも可能です。絡んで来た相手にも、社会的にも負けません。これが合気道の強みです。こうした理由から、警察や自衛隊合気道が採用されているのだと思います。

 戦いは好みませんが、戦いを仕掛けてくる相手から自分を守る。そして、戦いを仕掛けた相手の身体にダメージを負わせない。これが合気道の一番大切な本質なのではないでしょうか?

 

まとめ

 合気道が実戦で使えるか否かは稽古方法(道場)に大きく依存します。ボクシングでもボクササイズといったダイエット目的のフィットネスでは、実戦では通用しません。また、空手も型稽古のみではボクササイズと同様、通用しません。

 世間の一部では度々、合気道は実戦で役に立たないという意見が見られますが、おそらく実戦を意識した稽古を行っていない(そもそも実戦を目的としない)道場からの印象によって形成されたのではないでしょうか?やはり、強くなるには厳しい稽古を行う必要があります。