スマート駄目リーマンの忘備録

旅行記、キャリア論、世相分析など思ったことを書き連ねます

天才の輝き マルチナ・ヒンギス

真の天才

 女子テニス界では、大阪なおみ選手が何かと世間を騒がせている。テニスの実力がピカ一なのは間違いないが、それを安易に天才と評するメディアには首をかしげざるを得ない。

 私が考える女子テニス界の天才と言ったらマルチナ・ヒンギスである。ウィルアムス姉妹、シャラポアなども確かに強かったが、天才と言われると少し違和感がある。大阪なおみを含めた彼女達は女子の中ではかなり恵まれたフィジカルの優位性で、勝利しているからだ。

 そうした中でヒンギスは身長167cmと女子プロテニス界では小柄な方である。日本人の女子選手でもそれくらいの体格の選手はいくらでもいる。それにも関わらず、1990年代後半から2000年代前半まで、そうしたフィジカルプレーヤーと互角もしくはそれ以上で渡り合ってきたのだ。

 

正確無比なコース

 パワープレイヤーではない為、サイドラインぎりぎりを狙って、相手を揺さぶる。

 

コースが読みにくいバックハンド

 背中を相手に見せるくらいまで溜めるので、ミート寸前までラケット面が見えない。

攻防一体のスライス

 押し込まれた場面での、繋ぎのスライスであるが、そのコースが的確で、球が伸びるので、防御というよりもむしろ攻撃にもなり得る。

 

的確な緩急

 押し込まれる場面では、球をスマッシュの打たれない絶妙な高さに浮かせて、自分の体制を整える。相手としては非常に嫌な時間稼ぎである。浮き球にドライブ回転がかかっているので、バウンドすると大きく跳ね上がる。その結果相手が後ろに追い込まれて、ヒンギスにチャンスボールを献上することも多い。

 

ランニングショット

 横にボールを追いかけながら、ドライブショットを繰り出す技術もピカ一である。こうした不利な状態でも、正確なコースを狙えるのが彼女の強みである。

アメリカでの一戦

 画像は良くないが、天才の輝きが詰まった動画を紹介する。ウィリアムスのパワーとヒンギスの非凡なボールコントロールのせめぎあいが象徴的である。 

 サイドラインぎりぎりにバックハンドショットを二連続で繰り出して決め切る姿には圧感される。体格で海外勢に劣る日本人が世界で戦うにはここまでギリギリのところを攻めいないといけないのかと痛感させるショットだ。

 

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グラフとの新旧女王対決

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パワーテニス優勢の時代へ

 残念ながら2000年代後半からパワーテニスに押されて、ダブルスがメインの主戦場となったが、シングルス時代のコートをめいいっぱい広く使ったプレーにはスケールを感じる。彼女のテクニック、読みは今のプレーヤーでも大いに参考できるだろう。特に体格が小柄な日本人は参考に出来る要素が盛りだくさん。