時は就職氷河期の2002年
大学で物理の演習の講義を受けていた時のこと。終わらない就職氷河期のさなか、演習の講義をしていた助教の先生がポツリと言った一言。
「日本のメーカーは終わったね。君たちが中年になるころには日本メーカーの存在感が大幅に薄れて、中国製、韓国製の電化製品が日本にあふれているだろうね。」
助教の先生の大学の同期は日本の名だたる有力企業に就職していったわけで、その同期たちの話が非常に芳しくないとのことでした。このままでは日本のメーカーは衰退の一方だと。
2000年代中盤に就職
私もご多分にもれず、東証一部の大手メーカーに就職したわけですが、助教の先生の言葉がなんとなく頭に残ってはいました。あの先生の言っていたことは一体、何なのだろう。しかしながら、入社して半年間は同期とワイワイやりながら、研修期間を過ごし、そうした先生の言葉も徐々に薄れていったのでした。
厳しい現実に直面
半年の研修期間の後は設計開発部に配属となったわけですが、そこで厳しい現実に直面しました。仕事を引っ張る中年の部課長などのエースがいる一方で、よく分からない役職で、何をやっているのだか分からないおっさん社員も多くいました。そのおっさん社員の成果の発表の場はもちろん無く、本当に何をやっているのか分かりません。設計なのだから、プロダクトなり、売上額などの成果物があるはずですが、そうしたものも一切ありませんでした。一日中取引先と雑談だけして帰る人。誰とも話さず、シミュレーションソフトとにらめっこしているだけの人。ヤフーファイナンスを永遠とみている人。
若手社員は少数で、その若手社員の中で半分以上が派遣社員。低賃金で、中高年を支える縮図が、その職場のフロアに存在していました。しかも派遣社員は満足な昼食を取れず、カップラーメン一つ、菓子パン一つで飢えをごまかし、夜遅くまで仕事に取り組んでいたのでした。
いびつな設計検討会
新卒で入社した会社を退職した後に様々なメーカーを正社員として渡り歩きました。そして一つの一貫した現象が見て取れました。それは若手が設計検討会で発表をする場に何をやっているのか分からないおっさんが多数ゾロゾロ参加して、ただ椅子にふんぞり返って偉そうにしているだけ。それだけならば、まだ良いですが、若手設計者に意味不明な指摘をして、その若手に余計な仕事を抱え込ませて、肝心の設計の進捗が遅れてしまうのでした。しかもそのおっさんは良い指摘をしたと信じて疑わないという状況。
正直、申し訳ないですが、その若手のおかげで会社の仕事が何とか回っているのに、その若手の足をひっぱってしまう。当然ですが。会社なんて成長できるわけありません。助教の先生の言葉が本当に腹に落ちました。衰退の一方で、若手の立場でどんなにあがいても、むしろ足を引っ張られ、状況は悪化の一方。
まとめ(適正なリストラは必要だったかも)
世間ではリストラ=悪のイメージがぬぐえないですが、これにつきるのではないでしょうか?本人に悪気は無くても、まじめに頑張っている若手の足をひっぱってしまう人が多数いるのは組織の成長を阻害します。(おとなしく何もせずにネットサーフィンしている人の方がマシ)
2025年。2000年代に若手だった人も今は中年に差し掛かってしまいました。非常に疲弊をした若者時代でしたが、何とかそれを潜り抜けて強さを身に着けた人もいれば、そのままつぶれて立ち直れなくなってしまった人など様々でしょう。